東洋医学では、カラダは「気」・「血」・「水」の3つの構成要素で支えられていると考えます。この3つの構成要素のバランスが悪いと私たちのカラダには、さまざまなトラブルが出やすくなると考えられています。私たちは、体質を気虚・気滞・血虚・血滞(瘀血)・水虚(陰虚)・水滞(痰湿)の6つに分けて、体質ごとにトラブルの原因をさぐります。
水虚(陰虚)の方の体質はカラダの潤いである「水(すい)」が少なくなり不足している状態です。「水」とは体液だけでなく、汗や唾液、胃液、腸液、尿のような分泌液や排泄液などカラダのすべての水分の総称です。水はカラダを潤す役割を担っています。臓腑や筋肉、皮膚、髪の毛、粘膜などを潤し正常に保ったり、関節を潤し円滑に動かす手助けをしたり、ときには尿や汗、鼻水となってカラダに溜まった老廃物を体外へ排出するなど幅広く活躍しています。水が不足し陰虚の状態になると、カラダが乾燥し、あらゆるところで乾燥によるトラブルが起こりやすくなります。「水」が足りていなく、体にうるおいがない状態ですから、体をうるおし、熱をさますはたらきのある「水」がありません。熱によるのぼせや口渇が現れたり、皮膚に乾燥感があったり、からぜき、便秘傾向があったりします。
1.のどが渇いて水分を欲する 陰虚になり水分が不足すると、それを補おうとカラダが水分を欲します。そのため、のどがとても渇きやすくなると漢方では考えています。しかし一時的に水分をとってもすぐに体質が改善するわけではないため、再びのどが渇くなど、なかなか渇きが治まらないのも陰虚の特徴です。
2.口の粘膜が乾燥する・鼻の粘膜が乾燥する 陰虚になると、口の粘膜も乾燥しやすくなります。そのため、口が乾燥する(ドライマウス)、口がネバネバする、口が臭うなどのトラブルが起こりやすくなると漢方では考えています。また口だけでなく唇も乾燥しやすく、唇がカサカサする、唇が割れやすくなるなどの症状も出やすくなると言われています。口の粘膜と同様に、鼻の粘膜も陰虚になると乾燥しやすくなります。鼻の中が乾燥して荒れやすくなり、ひどいときには出血しやすくなると言われています。
3.のどがイガイガする・咳がでやすくなる 陰虚になると、のどや気管支の粘膜も乾燥し、潤いを失います。漢方では“粘膜は潤いを好み、乾燥を嫌う”と言われていて、乾燥するとのどがイガイガする、かゆくなる、せきが出る、呼吸がしにくくなるなどのトラブルが出やすくなると考えられています。せきは空咳のように乾燥した咳で、痰は無いか出ても少なく、ときに粘性があって出しにくいのが特徴です。
4.皮膚が乾燥してカサカサになる 皮膚も粘膜同様に潤いを好み、乾燥を嫌うと漢方では考えられています。そのため陰虚になると乾燥により皮膚のコンディションが悪くなり、カサカサする、艶がなくなる、キメが荒くなる、粉がふく、かゆみが出る、皮膚が弱くなるなどのトラブルが起こりやすくなると漢方では言われています。
5.便が硬くなる・尿が少なくなる 陰虚になると大腸粘膜の潤いも不足し乾燥しやすくなると漢方では考えられています。そのため、便が乾燥して硬くなり、排便困難、排便痛、さらにはコロコロした兎糞便や便秘にも繋がりやすくなると言われています。便だけでなく、尿にも影響が出ます。陰虚になると体内の水分が少ないため、尿として排出され水分が減少し、尿量も少なくなると漢方では考えられています。
※水虚体質の場合、のぼせ、ほてり、からぜき、便秘がち、やせぎみ、乾燥肌などの症状が起こりやすいくなります。
夜型生活を送っていませんか?まず、夜型生活であるなら、そこを見直し、遅くとも日付が変わる前には眠るようにしましょう。また、お酒やタバコは体を乾かしてしまうので、うるおいが足りない陰虚タイプの方は、とくに控えましょう。適度な運動は必要ですが、「水」が足りず、いつも熱さを感じているため、汗のかき過ぎにも注意が必要です。運動後はたっぷりの水分補給もお忘れなく。水分が不足しがちな陰虚の方は、体を熱くさせる辛味が強いものや熱いものなどは避けましょう。水分を補って体をうるおし、ほてりを冷ます、豚肉、卵、貝類、レンコン、キュウリ、トマトなどの野菜や果物を、積極的にとるようにしましょう。
1.汗のかきすぎに注意して、こまめな水分補給を こまめに水分を補給して、カラダに潤いをプラスしましょう。また汗をかき過ぎるとカラダの水分が少なくなり、陰虚を助長します。運動の際は特に、こまめな水分補給を忘れずに。カラダの乾燥に注意しましょう。
2.カラダの乾燥を助長するNG食材 辛いたべものは発汗を促し、カラダを乾燥させやすくすると漢方では考えられています。生姜、胡椒、山椒、唐辛子などの香辛料の摂りすぎには注意しましょう。
3.酸味×甘味でカラダの潤いをサポート 漢方では“酸味”と“甘味”の組み合わせはカラダを潤いを補うと言われています。酢の物や甘酢あんのように、日々の食事で酸味×甘味の組み合わせを意識してみましょう。
1.ネバネバ食材 漢方では山芋やオクラのようなネバネバした食べものはカラダの潤いを補うと考えられています。山芋はできるだけ加熱せず、生に近い状態で食べるのがおすすめです。実は山芋は加熱してホクホクした状態になると気を補う働きを助ける作用に変化してしまうと言われています。陰虚ではみずみずしい状態でいただくというのがポイントです。
2.白色の食材 白色の食材は「肺系(鼻・のど・気管支などの呼吸器系、皮膚、粘膜、大腸など)」の働きを助けると漢方では考えられています。その中でも、山芋や蓮根、白きくらげ、ゆり根、梨などはカラダに潤いを補う働きを助けると言われていて、特におすすめです。
3.ナッツ類 アーモンド、松の実、落花生などのナッツ類はカラダを潤し、陰虚の乾燥によるトラブルをサポートすると漢方では考えられています。特に腸の乾燥による便秘におすすめで、油が潤滑油のような役割をして排便がスムーズになると言われています。
1.潤肺 やまいも はちみつ アーモンド 銀杏 さんざし 甜杏仁 松の実 落花生、クレソン くわい 白きくらげ ゆり根 蓮根、杏 いちじく オレンジ 柿 かぼす すだち たちばな バナナ パパイヤ びわ 干し柿 みかん りんご、白魚
2.生津 豆乳 豆腐 オリーブ なつめ、アスパラガス オクラ キュウリ 黒くわい 白きくらげ ズッキーニ 冬瓜、トマト はやとうり 蓮根、杏 いちじく 梅 カリン ココナッツ シークワーサー スターフルーツ、すもも 梨 びわ マンゴー みかん メロン 桃 ヤマモモ ライチ りんご レモン、合鴨 牛乳 ヨーグルト
3.補陰・滋陰 やまいも 黒豆 エリンギ オクラ かぶら きくらげ じゅんさい 人参 ほれんそう、桑の実 梨
1.こまめに水分補給を行う 水虚は、水分が不足している状態ですから、肌荒れやカサカサ唇などが生じます。スチームなどで部屋の水分を補うことで症状が緩和することもあります。こまめに水分補給を行うことで症状が緩和することもあります。しかし、水分補給をしても、緩和しない場合もあります。原因が胃や腸の消化吸収に問題がある場合には改善しないことが多いようです。ストレスや過労などでも水虚の症状が起こりますので、十分な休息をとることも必要です。
2.リンパドレナージュをする オイルを使ったトリートメントやリンパドレナージュで水の働きを活性化し、新陳代謝を促すことで肌のターンオーバーを促進することが大切です。直接的に肌へのアプローチを行うことで、表面的には改善することが多いものです。
3.フェイシャルマッサージ 乾燥することで肌は潤いを失くし、粉をふいたりきめが粗くなったりします。肌の衰えは老け顔を作ります。フェイシャルマッサージや肌の正常化を図ることが必要です。フェイシャルトークセンなどで刺激を与えることも有効に作用します。
4.ヘッドマッサージ 頭皮が乾燥することでフケが多く発生します。ヘッドマッサージは頭皮の健康を保ってくれます。
5.腹部の施術・チネイザン 水虚によって体重の減少や貧血などの症状が現れる場合には、腸の活動に問題がある場合があります。腹部の施術・チネイザンによって経絡ごとの状況を確認することができます。 同時に、「脾胃の経絡」を刺激したり、「心小腸の経絡」を刺激したり、「腎膀胱の経絡」を刺激したりして、身体の内部から様々な症状を緩和し調整していくことができます。