上手なマッサージは、一概に何とは言えませんが、クライアントのニーズに合ったマッサージを提供することが上手なマッサージだと言うことができます。そのためにまず必要なことは以下のようなことだと思います。
・クライアントの話をきちんと聞くこと
・クライアントの辛いことを理解できること
・クライアントの要望をしっかり受け止めること
・クライアントの身体を触って細かく状況を把握しようとしていること
・ミリ単位にまで圧を調整にクライアントに最も適したフィーリングを表現しようとしていること
・押し返す力やひっかかりなどにも注意を払いどこまでも細かく身体をケアしていること
・ちょっとした反応や呼吸や脈の変化にまで注意を払って施術を行っていること
・多くのスキルを身に着けてそれを適材適所で引出して使える力があること
・伝統医学理論を理解し、施術を通して計画的に状況を変化させるためにプログラムする力があること
・クライアントに対し、なぜこうするのかという客観的な視点をもって施術のプログラムをきちんと説明できていること
・クライアントの要望と伝統医学理論の両方をしっかり把握し、それらを融合させカタチにできる力があること
・常にクライアントの立場で考え、他者の喜びが自分の喜びであると思える黒子的な存在であり続けること
クライアントのニーズはさまざまですので、いかにしてそのニーズに応えていくのかということになります。ただテクニックやスキルという側面に限定して挙げるとすれば、おおむね以下のようなポイントがあてはまると思います。
・動きの中で手がクライアントの身体から離れないこと、
・手や腕の力でぐいぐい押さないこと
・呼吸を合わせて副交感神経を働かせてくれること
・筋肉の状態に合わせた力加減を調整してくれること
・関節の柔軟度に合わせて無理のないストレッチ深度を提供してくれること
・温かく柔らかいけれども、しかるべきポイントにしっかり圧が入っていること
逆に言うなら、へたくそなマッサージというのは、上記の逆ということになりますが、ただ単にロボットのように圧迫の回数や決まった手順だけを繰り返しているような低レベルのマッサージも世の中にはたくさんあります。骨を圧迫している、髪の毛を踏んでいる、臭い吐息をかけている、依頼したことを忘れていたり、表現できていないような場合は最悪なマッサージだと認識するべきでしょう。せっかくですから、細かいところについても追記しておきます。圧迫の間合いについてはどうでしょう。圧迫は血液の循環を上げる作業ですが、血液の動きを想定するなら、一瞬の間では意味が半減します。対象となる筋肉の大きさや張り具合にもよりますが、ひと呼吸分くらいの間は必要でしょう。間合いは大切です。例えば、お笑い漫才も、間合いを間違えてしまうと面白くなくなります。ストレッチングの間合いについても同様です。ストレッチング(ストレッチ)は、タイ古式マッサージのひとつの特徴でもありますが、ストレッチングは関節の可動域を広げるだけでなく、周辺の筋肉の動きをスムーズにするものです。身体が温まった状態で行うべきもので、可動域いっぱいいっぱいの軌道を通っている前提がなければ、もってのほかですが、さらに考慮すべきは間合いでしょう。想像してみてください。無理なく伸びきった状態でしばらく間があれば、徐々に緩んでいくのが実感できるでしょう。一瞬では伸びるわけがないのは当たり前のことです。
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